01

お砂糖の作り方を知ってるかい?
小鳥だったころ忘れもの
琥珀のリキュールで割ったら夜
閉ざしたひかりが痛もうとも
オーロラ・テールのまことのすがた
ドラマチック野ばらケーション
巡らない木馬を連れて
くるんだ星座のひと粒ペロリ
miniature room key

02

オーロラ箔を纏いし心臓
ゆるりといた月のこと
密やかに甘くってお気に入り
ホワイトメルトな正午過ぎ
ぽとんと落ちた角砂糖の音楽会
ノスタルジック・ジャム/第三楽章
欠けっぱなしの琥珀レコード
Room Number 402
運命のくるみバターに潜むキー

03

バターナイフに戸惑う知性
食パンの上では誰もがひとりきり
琥珀の音がコロコロ鳴って、それでね
天窓からのシュガーダスト
花柄の壁紙がわらってる
ありふれたランプの影から(こっそり)
ダンス・ダンス・オン・ザ・食パン
不一致をすくいたまえ
a poky little room just for me

04

おもちゃ箱で歌いたいから
エチュードのまにまにパン屑が舞うよ
紅茶で浸った部屋が翳り
花冠のディナーはお預けかしら
スタンドアロンな思し召し
あまったバターと鍵の座
まだ誰も知らない三日月の
ジャムを拭った指よ・さよなら
今宵 さみしげな窓辺から飛び立って

05

キーは舌の根の元
魔法と埃
空っぽカップに流星の尾っぽ
むずがる子どもみたいに誓いたくない
天使が降りてきて眠たいな
まだ名残惜しい月明かり
たゆたうカレイドスコープの屑
バターナイフの沈黙を受け入れよう
夜明けと朝食の下に集いし永遠

06

オルゴールちっく
環を描く星の素
あふれたジャムのメッセージ
光を降らせるようにはもう会えない
キラッキラのスティション
待ち合わせて、ミルクはこぼれる
コスモ・ホワイト・ノイズ
色とりどりに星が欠ける
ひたひたひたる

07

ミルクボックスを覗かないで
ハートもないラブレター
お仕置きにお砂糖
琥珀のカケラひと匙分の気持ちだけ
星占いに負けないで
かわいい傘とはすぐにさよなら
雨上がりの声で教えて
したたる虹の色でリボン結び
いっしょに流れ落ちるは琥珀の部屋

08

微笑み忘れてティーカップの底
必然のキーなら重たいコートのポケット
いつもが褪せた花柄の壁紙
積もる埃のアンサンブル
雪混じりフェイクファーの調べ
なにも乗っかってないお皿
しまい忘れたバターナイフと残りカス
窓辺の景色がまぶたをじらす頃
ランプが消えたらまたあした

09

夢見ないワンダーホール
暗澹たる琥珀湖
クライ・クライ・バァ
ひたひたせまるオルゴールの音
とどめを刺すようなバターナイフ
落ちた一等星は無残な輝き/ジャムの刑
さみしいと一緒に瓶詰め
夢魔とパン屑のアダージオ
ティースプーンすべって、ぽちゃん。

10

葉っぱのモルグと悪い夢
すくいが満ちたらティーポット
予期せぬ出来事はミルク入り
たたかう角砂糖兵士たち
帰りを待つソーサーがあるでしょう
ひかりが詰まったくるみ割り
ティーカップに星のちから注いで
幕引きギンガムチェック
ほかほかスコーンとかわいいジャム

11

秘めてナイト/ティーパーティー
ジャムの代わりにキーをあげる
見つけたがりなら旅に出よう
環を外れた木馬の行方
反復するきらり星
ダイヤモンドめぐりの船に乗って
ざぶざぶ進めばミルキーウェイも怖くない
みだりにばら撒く琥珀もいつかの星に
三日月ベッドの上で夢におやすみ

12

朝のまぶたに星屑のため息(もうみえない)
毎日が編まれたセーター着て
許された食パンの日
賢げに座るバターとジャム
つつがないラベル
チックタックの縁取りが愛おしい
こわれものみたいなおもちゃ箱/ル・ル・ル
鍵の座の一等には琥珀がぴったり
月明かりが踊る窓辺のまた明日