蝶と冷凍すみれ

ノンアルコールの海は陽気なジェリービーンズに侵される

鍵穴からはじまる
仰向けになって写真を撮る
意地のわるいお年ごろ
生クリームをほっぺたに付け合う関係
ファニーなワンピースの寝床
おもしろくない話でもしよっかな
「跪けフリルの妖精よ」
蝶の行方はリボンで手繰れ
寸足らずのホリディ
空想するすみれの花の色はきれい
蝶結びのピルエット
しきたりは甘酸っぱいまじない
あの子のいいな
宝石なんておもちゃだから
胸が苦しいワンピース
ネイルしながらしりとりしよう
お人形みたいって言われたい
黒レースのリボンの名前はフランソワ
手がかりはホリディ・ピンクの足跡だけ
12時のエナメルパンプス

かわいいと美しいだけ食べて生きている子へ

ファインダー越しのあの子はきれい
どうしても、どうしても、ファンファーレ
あの子のせいで蝶が青い
重たい春のヴェールの向こう側
パパが主役の冒険小説
だらしなさを隠すハンカチーフ
リリーとフランソワみたい
居残り星座
エメラルドグリーン・オペレーション
お遊戯会では紳士を演じます

すみれの姿も演じられないなんて
あなたの睫毛に蝶の気配
それは廊下が銀河だった頃の話
花の在り処でお昼寝したい
すべての世界に許されている女の子
憐れなさくらんぼ倶楽部
魔法のフローズン
カレイド・デリリウム
蝶の姿もひとつのあなた
父さま母さま、さみしいわ。

もっとメリーゴーランドに乗っておけばよかった

無駄に花盛り
光ることは他人事かもしれない
造花は後から幾らでも買えるでしょう
ピアノの発表会みたいなお洋服
すみれの息吹を閉じ込めた
散れ散れの翅に寄せて
ミルキーピンクの支配欲
そのまなざしを召し上がれ
誠実であればあるほど嘘になる
こんなところが色違いなの?

私に冷たいマスカラ
その気持ちは彼女のくちびる色
ストロベリーソーダがこぼれた夜に
すみれのワンピースは滑稽でしょう
雨を閉じ込めた香水瓶
翅にならないお約束
不在のカードをお切りなさい
鍵穴に蝶の死骸を詰め込んでおいたから
嘘の住処で灯した蝋燭
明ける方角に帰っているのにね

蝋燭の灯りだけで暗闇を歩くような覚悟もない

間違ったおまじないで孕んでしまった
さよならのする香り
なんて嘘つきな桜貝色の爪
うまれたての卵みたいな絶望
誰も摘んでくれないくせに咲いてるの
泣くたびにすみれの花が散る
リリーのリ・コール
さみしい子だけが魔法を使える
蝶よ花よと歌うように呪い合えば
結局あなたが檻だった

交わることで獣に近づいてしまう
か弱いホーリーナイト
夜な夜な遊びに来る“奴ら”
あの子のきらめきが食べたいのに
行き過ぎた蝶がつけまつげと戯れるから
恋なんてしないために唱える
気だるい鱗粉
あの子が噛んだすみれのアミュレット
午前2時のカーテンコールもままならない
膿んだ季節のフレンチローズ

世界を二つに隔てる色はピンク色かもしれないね

あなたコーラルピンクが似合わないのね
ヴァージン・ピンクの特権階級
狂ったようにリボンで飾る
さよならだけはあげたくなくて
くちびるはフェアリーピンクの言いなり
踏みにじったらすみれの香り
泣いたままクライオニクス
いちばんきれいなわたしにあげる
オーロラピンクの従順さを思い知れ
最後の晩餐は透けた翅色のバーで

コーラルピンクしか似合わなかった
キラキラまつげと相容れない関係
あの子の名前はおまじない
またたきとは弱くなる魔法のこと
蝶になるから逃げたくないよ
誰かと一緒に落ちるまで
もう二度と来ない春を訪ねて
健やかな逃走
どんなピンクもあの子の前では価値がない
さよならフラミンゴレディ

「白いドレスをおもいっきり汚してみたかったの」

引きずってもレースは白いまま
やがて蝶になるためのメヌエット
少女じみた魔法
ふたりの隠れ家に黒い服はない
それがレースの花になったらいいな
春を待っても彼女は孵らない
暇な日こそお遊戯会
目蓋にのせたローズダストが踊りだす
ブローチの寝台で眠るすみれ
オーダーメイド サマー

白いレースは鎖のように重たい
ふたりがちゃんと汚し合えるまで
ママのいないままごと
十年後の私たちはもっといじわる
エナメルパンプスでお城行き
春と蝶の採寸はまだ
大人みたいなマカロン色
睫毛が絡め取った星のラメ
シャンパンゴールド・ポップマシーン
トランクの鍵は壊れているの